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「あっ……純也が……見て……るっ!」
「いいからいいから」
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初めてそれを見たのは小二、小三の辺りか。母親の男遊びが多くなってから、半年ほど経った時に起こった出来事。
母親も男も全裸で……
母親なんかはもう我を忘れて叫んでいたのを鮮明に思い出した。
それからも、度々他の男と母親がやっているのを見た。中には見せつけてくる変態野郎もいた。
俺にとっての性行為ってのは昔から近くにあったもの。だから簡単に踏み越えることが出来たのだと思う。とにかくろくなものじゃない。
俺の母親は働いていない。ひたすら男を捕まえては貢がせ身体を売っている。
でも、本人は身体を売るのが好きらしい。別に金をもらえなくても、進んでやりたがるんだから……
俺を見ろよ。
俺は独りだ。あんたが俺を捨てた。俺はあんたのこと……
「大好きだったのに……」
そう。だった。だっただ。もう過去のことだ。頭ではきちんと割り切ってる。
ただ、どうしようもなく出来ることならもう一度戻りたいと思う時がある。普通に笑っていたあの頃に……
思い出せばあれは夢だったんじゃないか?
そう思えるほど今は遠い昔の幸せ。今じゃ手を伸ばそうが、背伸びしようが届かない俺の夢。
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