‥―弍ノ章―‥

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  夜が明け日が傾いた頃。 ひとつの部屋から悲鳴のような罵声が飛んだ。 それは小さな女郎屋全室に聞こえるくらい大きなものだった。 私が部屋へ駆けつけた頃には、仕事あがりの遊女や禿の野次馬が入口を塞ぐように集い、 女将と亭主が百合花を抑えつけているのが見えた。 そして百合花の足元には禿を抱える一葉の姿がある。 「私に恥をかかせやがって!!」 今にも飛びかかって行きそうな百合花に女将は「まぁ、まぁ」となだめた。 そして一葉に視線を送り 「今、この店で一番稼いでるのは百合花なんだ。 勝手な行動を取りたかったら百合花を越えてからにしな」 そう言い、百合花を抱えるように連れて部屋を出る。 「ほら、邪魔だよ。 アンタ達もやることをやりなさい。客はどうしたんだい?」 女将の言葉に野次馬は道をあけ、パラパラと持ち場へ戻った。 ただ黙って一葉と禿を眺めていた私に、横を通り過ぎる百合花はフンと鼻を鳴らす。 .
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