南の都 ~異国の少年~

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いつもと同じように朝が来る。 窓の外では小鳥が歌い、太陽が顔を覗かせていた。 「リディア!!早く起きろって言ってんでしょうが!!」 ……爽やかな朝を妨害する女。 我が姉、イリア。 「今日学校休みじゃん……。」 またベッドに潜る。 二度寝って何であんなに気持ち良いのだろう。 「……知らないの?現在進行形で家計が崩れ落ちそうなんだけど。」 「……で?」 「はい、バイト。この紙に書いてある植物を森で採って来て。」 そう言って机に小さな紙を叩きつける姉。 あぁ……ダルいなぁ。 「面倒くさい……そんぐらい自分でやれば?」 「できるならアンタに頼まないわよ。とりあえず、サボったら三食抜きにするからね。」 「あぁもう……分かった、分かりました。やりゃあいいんでしょうが。」 まったく……我が家には朝の爽やかな空気を楽しむ余裕すら無いらしい。 「あ、そうそう。」 「今度は何?」 仕方なく着替える私。 白いシャツに、紺の上着。 膝上のズボンを穿き、赤い布をスカートのようにして結ぶ。 自慢の金髪ストレートもボサボサになってしまっている。 直すのは面倒くさいが……。 「また学校で表彰されたんだって?」 「ああ、アレね。そういえば学校創立以来の天才って言われたっけ。」 「私も鼻が高いよ。ウチの妹は最強の魔導士だって自慢できるんだからさ。」 姉の話はさておき、髪は後ろで結ってポニーテールに。 これがいつものスタイル。 「私には魔法の才能は無かったのにねぇ……。」 「じゃ、行ってきまーす。ちょっと学校に寄ってくるけど……昼までには戻ると思うから。」 「分かった。ちゃんと帰って来なさいよー。」 朝飯をくわえながら家を出た。 まずは学校へ行く事に。 私の通う学校……サウス魔法学校へ。
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