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そうこう考えているうちに、手に力が入っていたらしい。オリビアが持っていた、濡れたハンカチからじんわりと水が染み出してきてしまった。
慌てて握った手を緩め、バルコニーへと入ろうとした時、2つの人影が目に入った。
「あれ…」
長椅子に座っているのは、キシャーム。そして、その向かいに立つのは褐色の肌の男。
確か…あの人がルルビア様の3人目の婚約者候補のセイラ・オゼッラ。10代の若さで国の最高魔術師となり、国に仕える魔術師達を束ねているとか。
婚約者候補にはもうこれ以上、会いたくなかったんだけど、と溜め息を落とし、オリビアはバルコニーに足を踏み入れた。
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