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1.鮮血を彩る殺戮
満の月は嘲笑うかのように空の中央で淡く光を放っている。
夜の秋間矢の街は闇の中で月の光と華やかに照らしあげる眩い街灯で人々の娯楽の場となっていた。
そんな中、秋間矢市の中央に位置する繁華街の大通りには一人の女性が存在している。
赤いワンピースを纏い、同じ色の赤い靴、そして背に背負われた血のように禍々しい色の真っ赤なギター。
その白銀の髪はそれらの色を強調し、夜の街中でも存在は薄れていない。
空色の蒼眼は前方だけを見つめ、周りからの奇異な視線など全く気にしてなどいなかった。
「おい、姉ちゃん!あんた可愛いなぁ。どうだ、今から俺と遊ばないか?」
女性が道を歩む途中、酔った中年の男が声を掛けてきたが、汚い物でも見るかのように女性は男を見ている。
しかし、女性は表情を一瞬で変え、華やかな笑みを男へと向けて言った。
「良いですよ。私も暇してたところだったんです」
「そうかい、それじゃあ行こうか!」
女性の返答に満足した男は気味の悪い笑みを浮かべながら言う。
「ええ、楽しませてくださいね?ふふふ……」
そして二人は夜の街へと姿を消していった。
………
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