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「航生くん?!」
美羽は驚いて航生を見た。
「お茶いれてきますね」
母親は航生に会釈すると、階段を降りていった。
「……」
「具合、大丈夫?」
航生は心配そうに美羽を見た。手にはピンクや黄色のかわいらしい感じの小ぶりの花束を持っている。
「…うん」
美羽は航生から目を逸らした。
まさか航生が自分の体調を心配して、2日も続けて来てくれるとは、思ってもみなかったので嬉しくて涙ぐんだ。
同時に、これで終わりなんだと思うと、ただ悲しい気持ちでいっぱいになって来た。
「……」
「……」
顔をあげなきゃ。
顔を上げて、笑顔で伝えて、航生くんを送り出してあげよう。
頑張れ、私。
「美羽」
航生はうつむいたままの美羽の肩に手を当て、
「ごめんな、俺。元カノ探しやめるから」
と切り出した。
「え?」
いきなりの航生の発言に美羽は顔を上げた。
「昨日の美羽の態度見てたら…本当は俺が元カノ探しするの、美羽は嫌なんじゃないかと思って」
「……」
違うのに。
「俺が今、一番泣かせたくない子は美羽だから…だから、美羽が嫌な事はしないよ?」
「……」
航生の言葉に胸が熱くなり、美羽はその場で泣き崩れた。
嬉しいのに。
喜べないなんて。
こんな事って――
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