ライバルは…?!

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美羽は、拳を握ると、航生に切り出した。 「航生くん、早紀さんの所に行ってあげなよ」 航生は画面から美羽に、ゆっくりと視線を移した。 美羽は涙がこぼれないように、唇を軽く噛むと続けた。 「協力するって言ったのに、その写真見たら…言えなくなって…航生くんに伝えるのが遅くなってごめん…なさい」 泣かないようにと決めていたのに、涙が出てくる。 「伝えないでこのまま黙ってれば…とか、嫌な考えも浮かんだんだけど、私は…私の為に、航生くんに早紀さんの所へ行って欲しいって思ったの」 「俺が早紀の所へ行く事が美羽の為になる?」 黙って美羽を見つめていた航生が、瞳を潤ませながら口を開いた。 美羽は頷くと、 「航生くんは、早紀さんと会って、過去と向き合いたいって言ってたでしょ?」 航生は軽く頷いた。 「私は…航生くんが好きだから、後悔しない選択をして欲しい。それが私に出来る事だって気付いたから」 「だから…」 続きが言えなくなった美羽を、航生はやさしく抱き締めた。
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