【第1部】

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さて。 この物語の『始まり』には理由があった。 あった、と思う。 ……まぁ、自分は完全に『巻き込まれた』側の人間なので、 俺個人に関して言えば大した理由は持ち合わせてはいない。 でも、 少なくとも『彼ら』の思惑やら動機やらには筋が通っていたし、 或いはその中には同情や感傷の及ぶものもあった。 「くだらない」と笑い飛ばせぬものがあった。 とにかく重要なのは、 それが『彼ら』にとって決して譲ることの出来ないモノだった、ってコトだ。 だからこそ。 彼らの願いは暴走し、 彼らの思いは錯綜し、 彼らの望みは衝突した。 馬鹿馬鹿しいほど滑稽に、 馬鹿馬鹿しいほど真剣に。 言うなれば、これは白昼夢みたいなものだったのかもしれない。 互いに火花を散らす、 放課後の空想。 ───だが、 それが現実を変えられないなんて、いったい誰が決めたんだ?
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