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朗らかな陽射しが射し込む、晴れた秋の日だった。
……それを切り裂くような、
轟音と閃光だった。
──豪快な爆発音と同時に、窓の向こうが突然光る。
「……んあ?」
部室の机に突っ伏して眠っていた俺は、口元からよだれをたらしながら顔を上げる。
その頃には光は止んでいた。
良い気分で眠っていたのを起こされ、少し不快な気分になる。
おまけに、何だか外が騒々しい。
「何だ……?」
俺は部室を出て、欠伸をしながら学園の中庭に向かった。
……私立赤春学園。
それが此所、俺が通う学園だ。
中学、高校、大学を1つにまとめたマンモス校。
敷地面積は東京ドーム約20個分になるとかならないとか。
俺は東京ドームに行ったことはないから、それが世間的にどれぐらいの広さなのか掴めないが、たぶん相当広いんだろう。
だが、学校は広けりゃいいってわけじゃないだろう、と俺個人は思う。広い場所でテスト受けたって点数は上がるわけじゃない。
と、そんな毒にも薬にもならねーことをぐちぐち考えながら、俺は中庭に出る。
……そこには沢山の生徒が集まっていた。
皆、何故か大学棟の方を見上げて騒いでいる。
ナオタの姿を見つけた。
悪友、その1だ。
「ナオタ、何だ、この騒ぎは」
「お、ユーマじゃん」
ナオタは俺の姿を見つけると駆け寄ってきた。
いつ見ても頭が悪そうな金髪だ。その上、マジで馬鹿なんだから救いようが無い。
ナオタは興奮気味に答える。
「おい、見たか?爆発だぜ爆発」
……爆発?
うろんげな顔をする俺。
ナオタは他の連中と同じく、大学棟の方の空を指差す。
……立ち上る煙。
火事のようだった。
「おー、本当だ」
「超ヤべーよ。アレって大学工学部の研究棟だろ。なんか実験で失敗したんじゃね?」
「馬鹿な大学生だ」
「ヤベーなコレぜってぇヤベーよ何がヤベーってコレマジヤバいってマジで」
……ヤベーのは貴様の言語能力だ。
ナオタの目はキラキラと輝いている。
……嫌な予感。
案の定、ナオタは言った。
「ユーマ、ちょっと見に行ってみよーぜ」
「やだよ、面倒く……」
言い終わらぬうちに、ナオタは俺の腕を掴んでいた。
「ちょ、オイッ!!」
「見るだけだって」
嬉々として笑うナオタを前に、俺はため息をついた。
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