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まだ夜も開けきらない午前6時15分、車掌のアナウンスが佳澄駅到着を予告した。
2人もむっくり起き上がり寝惚け声で「おはよう」と挨拶。しばしぼ~っとしていたが外を見ていた横田が声をあげた。
「塚サン!外真っ白だッ」
俺はその声の示す外を見てみた。
「ほぉ⤴」思わず俺が声を漏らす。
一面の雪原を列車は走っていた。まだ薄暗くてよくは分からないが、列車の窓からの光が周りの雪に一筋の光の線を描いている。とても神秘的な光景だった。
そうだ、ここは雪国。鳥取県にほど近い場所なんだ。と改めて実感する。東京とは違い、夜明けも遅く、いかに遠い場所なのかを無言の内に物語っている。
佳澄駅に到着する頃には大分明るくなってきた。同時に周りの美しい銀世界が広がって行く。ここで対向車待ち合わせとご老体DD51型のエンジン点検。そう、ここはすでに単線区間なのだ。そうこうしている間に待ち人は定刻道りやって来た。大阪行き特急「はまかぜ」だ。
現在、数少ない気動車特急、鳥取発の1番列車だろう。利用者はまばらだが、特急列車としての風格は十分なものであった。
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