強襲 Ⅲ

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エドワードを良い方向に変えた張本人と目されるアキレスは星系へのもう一方の入り口であるB回廊への進入を試みているが、ラインツ中将の老獪な指揮に翻弄されて回廊突破を果たす事は出来ていなかった。 「・・・また失敗か」 「申し訳ありません。頑強な抵抗に遭い、なかなか思うようにはいかないようです」 苦々しい表情のアキレスに副官のムーアが頭を下げる。 「まぁ良いさ。回廊突入の目的はラインツに我々の調査を悟られないようにするのが主目的だからな」 そう、アキレスは回廊突入を試みつつ、情報収集艦を星系外周部全体へと派遣しているのだ。その目的は帝国軍も知らない第3の回廊を探す事であり、現在敢行している突入作戦はラインツにいらぬ勘ぐりをされない為のカモフラージュ的な意味合いがあった。 「とは言っても、あわよくば回廊突入を果たして帝国軍本隊の後背を強襲出来ればとは思っていたがな」 「閣下、『二兎を追う物は・・・』って奴ですよ。そう上手くいくものではありません」 ムーアの言葉にアキレスが苦笑する。
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