強襲 Ⅲ

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ビィーッ!!ビィーッ!! 軍港内部には非常時を伝えるブザーの音がけたたましく鳴り響いていた。だが、それに対応出来る者はほとんどいない。燃え盛る炎の中、多くの兵士が生きたまま焼かれ、生き残った者は我先に逃げようと右往左往していたのだった。 「エネルギー庫、弾薬庫共に温度が急激に上昇中!!危険温度に到達しております!!」 「消火だ!!消火ガスを放出しろ!!」 「ダメです!消火設備が動きません!!」 「それなら外殻装甲を解放しろ!空気を宇宙に放出して火を消すんだ!!」 「それも無理です!電路がズタズタに引き裂かれてモーターが動きません!!」 軍港管制室では必死に被害の拡大を抑えるべく、管制官達が決死の作業を行っていたが、ことごとくが徒労に終わっていた。軍港設備はことごとく破壊されており、帝国の誇る宇宙軍港は燃え盛るオブジェと化していたのだ。 「そうか・・・やむをえん。退去勧告を出せ!この港はもうだめだ!!」 管制官がコンソール上の非常ボタンを押すと、港内に退去命令を促す放送が警告音と共に流れる。
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