強襲 Ⅲ

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「・・・なるほど。それじゃあ船長は単独行動の方が目立たずに良かったと思ってるんで?」 ジョージの問いにニックが深く頷く。確かに小規模とはいえ艦隊を組んで航行している以上、彼らの存在は連邦軍の目に付きやすいのだ。無数の民間船が宇宙空間に避難しており、現時点でのダルキュア星系には各所で民間船が航行しているのだ。 「まぁ、そんな所だ。敵が民間船を無差別攻撃してくるなら話は別だが、奇襲とは言え、正規軍が海賊の真似事をする訳が無いからな。『落ち葉は森に隠せ』では無いが、民間船があちこちを逃げ惑ってるんだから、単独で避難した方が目立たずに安全だったかも知れん」 ニックの説明にクルー達が納得の表情を見せる。 「さすがは元軍人。船長のおっしゃり様は理に叶ってますな。何といっても・・・」 「ジョージ!!」 ジョージの発言を遮るようにニックの声がモーニングスター号のブリッジに響く。 「余計な事は言うな。さて、お喋りの時間はこれまでだ。護衛艦隊がいるとは言っても、周辺のレーダー監視は怠るなよ」 不機嫌そうな顔でニックが言うと、ジョージは複雑な表情で彼を見ていたのだった。
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