失策

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「ダグラス。今は確かに貴官の言う通りだ。恐らくまだ知らされていないのだろうが、奴らが仕掛けた事だ。帝都急襲は程無く連中の知る所となり、必ず大攻勢に出てくるだろうな」 ジェライドが説明する。 「閣下、それでは・・・」 アルベルトが口を挟むのをジェライドは手で制してから続ける。 「幸いにもレオンの陽動は上手くいっている。ここは一刻も早く連邦軍を我々の包囲下に引きずり込み、一気に決着を付けるしかあるまい」 ジェライドが断言するが、ダグラスは否定的だった。 「だが、その頃は連邦軍も帝都急襲を聞いて勢い付いているだろう。大丈夫か?」 「だが、いたずらに決戦を引き伸ばしては敵の士気は上がり、我々はその逆だ。いくら箝口令を敷いても隠し通せる訳がないからな。多少の犠牲は覚悟しなければなるまい」 ジェライドが険しい目で2人を見る。彼の言う通り、既に全艦に伝えられた情報を抑える事は極めて難しい。箝口令で多少の時間稼ぎは出来るだろうが、全将兵に知られるのは時間の問題であった。
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