失策

17/45
前へ
/1283ページ
次へ
「オイゲン」 言葉こそ静かだが、ベッカーの厳しい視線がオイゲンに突き刺さる。 「何ですか?副長、小官は一般論を申しただけですが」 「何っ!?」 ベッカーが立ち上がると、オイゲンもそれに合わせて立ち上がって睨み合う。 「待て」 ウィルが2人を制止する。そして、 「確かに一介の艦隊司令ごときが陛下や殿下の安否を心配して帝都に問い合わせるのはどうかと思う。出過ぎているかも知れん。済まない」 ゆっくりと頭を下げた。この様子に2人ばかりかブリッジのクルー達も彼を注視する。頭を上げて、 「だが、このマンダリン星系は通信に極めて難のある所であるが故に、最も情報収集能力がある本艦がそれを行うのは当然である。個人的な理由も確かにあるが、それは極力選択肢に入れてないつもりだ。砲術長、分かってくれないか?」
/1283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4692人が本棚に入れています
本棚に追加