失策

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ウィルの真っ直ぐな視線がオイゲンとベッカーに向く。 「ふぅ・・・冗談で言っただけなのに、副長が真に受けるモンだから、ウィル大佐がいらぬ恥をかいたじゃありませんか。大佐、小官こそ出過ぎました。申し訳ございませんでした」 オイゲンがふと表情を緩め深々と頭を下げた。その様子にベッカーも同調する。 「大佐、小官も謝ります。つまらぬ騒ぎを起こし、申し訳ございません」 「・・・いや、2人とも頭を上げてくれ。極力入れていないとは言ったが、個人的理由も少しはあるんだ。そう畏まらないでくれ」 頭を上げたベッカーとオイゲン、そしてウィルの3人が互いの顔を見合い、大きな笑い声を上げた。その様子にブリッジの空気が和んだ時だった。 「大佐、回廊出口を警戒に当たっている機動部隊から緊急電!『敵艦影3見ゆ』との事です!!」 「むっ、全艦警戒体制!!艦内照明を青に切り替え、索敵状況をモニターに映せ!」 ウィルが素早く反応する。第38宇宙艦隊には一気に緊張の色が走った。
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