緋き盾と一輪の薔薇

失策

「まずいな。このままではここの存在が知られてしまう。キース、攻撃隊の準備は？」

「いつでも発艦可能です」

「よし、俺の独断になるが攻撃隊を出そう。全空母に発艦命令を・・・」

ルイスが攻撃隊の発進命令を出そうとしたその時、

「ルイス大佐、待って下さい！ウィル大佐から命令です！！『艦載機の発艦は不要。機動部隊は後退して岩礁に身を隠せ』との事です。あっ！ガルディアス以下、戦艦群が我が艦隊を追い越して行きます！！」

オペレータが慌てて報告し、右を指差す。彼らが向けた視線の先にはガルディアス以下、第38宇宙艦隊の戦艦群が彼らを追い越し、回廊入口へと進んでいく姿があった。

「戦艦だけ？・・・なるほど。岩礁に隠れながら遠距離からの狙撃を行うつもりだな。よし！全艦後退！岩礁に身を隠すぞ。それからアポロには索敵情報をガルディアスに直接送る様に下命せよ！！」

機動部隊が後退を始めると、岩礁を巧みに利用して連邦軍艦隊の位置を観測していた艦載機はそのデータをガルディアスへ送信し始めた。一連の流れにウィルはガルディアスのブリッジで満足気な表情を浮かべている。