失策

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この場合は遠距離射撃と引き付けて攻撃のふたパターンが考えられるが、前者には精度での不安があり、後者はその前に回廊入口を発見されるリスクがある。ただし、この星系は通信障害が多く、少々の電波妨害を行っても敵に勘付かれる可能性は低い。 ベッカーはあえて長距離射撃を進言する事により、ウィルの口から最善策を部下達に指示させたのだ。実績はともかく、ウィルは何といっても若い。彼はその点を考慮し、常に指揮官を立てるよう心掛けていた。 「敵哨戒部隊、200宇宙キロに接近!未だ進路、速度共に変化無し!!」 連邦の情報収集艦は護衛の駆逐艦を引き連れて前進を続けている。回廊の存在には全く気付いていないようだ。 「砲術長、砲撃用意は?」 「すでに出来ております」 「よし、もう少しで作戦を開始する。皆、気を引き締めてくれ」 ウィルが静かに命じると、 「敵哨戒部隊、180宇宙キロに接近!」 オペレータが報告した。
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