失策

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一方、ここまで良い所が全くない宇宙艦隊司令部では帝都防衛本部(実際は軍務尚書ホーウッド元帥だが)による連邦軍戦闘艇ファルコンの撃沈に一応の安堵感は出たものの、ここまでの損害に1人1人の表情は暗かった。 「敵戦艦の追尾はどうした?まだ追いつかんのか!?」 不機嫌そうに総参謀長ブルックス大将が部下達に聞くが、彼らの答えは否定的だった。 「はっ・・・目下、敵戦艦は戦闘艇の収容作業中で、彼我の距離は詰まりつつあります。ですが引き離された距離が距離ですので、収容完了までに追いつく事は難しいと思われます」 「ぐううぬ・・・何としても敵艦を沈めるんだ!このままでは宇宙艦隊司令部の面子が丸潰れではないか!!」 ブルックスの口から思わず本音がこぼれる。ホーウッドの指揮とは言え、帝都防衛本部は連邦軍の戦闘艇ファルコンによるダルキュア本星への攻撃を阻止している。それに対し、宇宙艦隊司令部は軍・民、両宇宙港を破壊されたばかりか、多くの戦力を失っているのだ。 そんな彼らの矜持を保つ為の唯一の手段。それは戦艦ゲイボルグの撃沈である。
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