失策

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「総参謀長閣下、そう言われても敵戦艦の速度を考えれば物理的に不可能です」 「各星系の守備隊からの応援はどうした?彼らも全速で向かっている筈だが?」 焦れた表情のブルックスとは対照的に、シルバラードが極めて冷静に聞く。彼の中には体裁だの面子だのと言った感情論は一切なく、客観的に敵艦を沈める手法を模索していたのだ。否、この件に関する責任は自分が取らねばならないと既に覚悟を決めていたと言った方が良いかもしれない。 「はっ、周辺の星系よりワープしてきておりますが、本星系への到着は最も早い艦隊でもあと1時間は必要です」 「そうか・・・ならば間に合わんな。追いつかなくても構わん。第1艦隊による追尾は続けるんだ。それと民間ならびに軍宇宙港に調査隊を派遣するんだ。もしかしたら生存者がまだいるかも知れん」 「はっ!!」 シルバラードの指示で部下達が作業にとりかかる。すると、オペレータの1人がモニターの異変に気付き、後ろに立つシルバラードへ大声を張り上げた。 「ち、長官!!敵戦艦の進路に変化があります!リンゲル方面に方向転換しましたた!!」
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