失策

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「リンゲルに?」 シルバラードが訝しげに聞き返す。 「はい。厳密に言うとリンゲルの側を通過する航路なのですが・・・想定ルートをメインスクリーンに映します」 困惑顔でレーダーの映像をモニターからメインスクリーンに切り替える。そこにはダルキュア星系全体の様子と戦艦ゲイボルグが進路を変える様子。そして、その予想進路が併せて映し出されていた。 「ふむ。確かにリンゲルの方に進路を変えたな。だが何故だ?今の位置からリンゲルに進んでも、連邦領とは反対ではないか」 「長官、まさか連邦軍の奴らはリンゲルをも目標にしているのでは・・・?」 「参謀長、それは無いだろう。リンゲルはただの商業都市だ。奇襲では無くなるリスクを冒してまでわざわざ攻撃するとも思えん」 シルバラードの言は的を射ている。リンゲルは商業と大規模観光を中心とした産業構成を成しており、政治的、軍事的な戦略的価値は無い。 モニターを凝視しながら考えていたシルバラードだが、その表情はみるみる青ざめていく。 「・・・まずい!!」 シルバラードの慌てぶりにブルックス以下、部下達が彼を見る。
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