緋き盾と一輪の薔薇

失策

「こうなれば仕方が無い。護衛艦隊はただちに敵戦艦を迎撃せよ。殿下のお乗りになっている民間船には全速でリンゲルに向かい、惑星上に降下するように伝えるんだ！それと帝都防衛本部にいるホーウッドには状況の説明と敵戦艦に対するミサイル攻撃の再開を要請。急げ！！」

「「「了解！！」」」

シルバラードの檄でにわかに宇宙艦隊司令部内が騒然と作業に取り掛かる。そんな中、ブルックスが彼に耳打ちした。

「長官、正直言って難しいです」

「総参謀長、そんな事は分かっている。最悪のケースを考えて次の策を考えねばなるまい。シュルツ技術中将を呼び出し、あのバケモノについて解析させるんだ。それと本星に落ちた戦闘艇の回収と分析もな」

「はっ。戦闘艇につきましては既に軍務尚書閣下が対処を命じております。あとは・・・」

「うむ。本件の後の事だ。私と貴官の責は免れまい。辞表を書いておくんだな」

「・・・わかりました」

自虐的に苦笑するシルバラードにブルックスは静かに引き下がるしか無かった。