混迷

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だが、彼等はウィルという人となりを完全に理解していなかった。ウィル自身、父であるシルバラード元帥の進退問題はあると考えているが、それは当然の事であり、少なくとも今以上に自分に跳ね返って来るとは思っていないからだ。 そんな事よりも、彼はアレクとミディアの安否がどうしても気になって仕方無かったのだ。 『アレクは敵艦来襲と同時に皇宮の地下壕に避難しただろうが、ミディアは学校に行っている時間帯だ。あの夢の事もあるし、どうも気になる・・・』 普通に考えれば、敵襲と同時にアレクとミディアの安全は第一に考えられる。しかも、ゲイボルグのワープアウトから帝都攻撃まで短時間であるが、それなりに避難する時間もあるだろう。だが、ウィルは先日見た悪夢ともいえる夢の事がどうしても引っ掛かっていた。 『ウィル・・・大好き』 苦悶の表情を浮かべながら息絶えるミディアの姿がウィル頭の中に浮かび上がる。彼はそれを振り払うかの如く頭を左右にブンブンと振り、深く溜息をついた。 思案しながら歩くウィルは不意に一枚のドアへ手をかける。
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