混迷

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ゴウンゴウン・・・! ドアを開けると、ムンムンした熱気と大きな稼働音、そしてその中で汗だくになって動き回るクルーの姿があった。 ウィルは周囲を見渡しながら奥へと進んで行く。途中、すれ違うクルーがウィルの姿を見て慌てて敬礼するが、彼はそれに軽く答礼しながら歩みを進めて行った。 「おい!!レンチ持って来い!もうすぐ出撃だ。モタモタするな!!」 喧騒の中にダミ声の激が飛ぶ。 「馬鹿野郎!バルブは丁寧に絞れといつも言ってるだろうが!!・・・おっ?大佐、どうしました?」 声の主はウィルに気付くと笑顔で敬礼した。 「気合いが入ってるな。機関長」 ウィルも笑顔で答礼を返す。声の主は機関長のドンナー中佐だった。 「調子はどうだ?」 ウィルは辺りを見渡しながら聞く。 「相変わらず絶好調です。あれだけブン回しても悲鳴のひとつも上げやしない。コイツは最高の機関ですよ」 ドンナーは誇らしげに自ら整備した主機関に手を触れた。
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