混迷

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「そうか。それは頼もしい限りだ」 ウィルが顔を綻ばすと、 「まぁ、その代わりと言っては何ですが、整備が少し難しいのが玉に傷ですがね」 笑いながらドンナーも返す。 「ところで大佐。また悩み事ですかな?」 「・・・そう見えるか?」 「そりゃあ昨日、今日の付き合いじゃありませんからね。大佐がここに来る時は決まって悩み事がある時ですからなぁ」 ドンナーが愉快そうに言うと、ウィルは苦笑しながら肩をすくめる。そう、ドンナ―の言う通り、ウィルは悩みや考え事があると決まって機関室を訪れる。彼曰く、『機関室の強烈な熱気と喧騒が胸のモヤモヤを吹き飛ばしてくれる』らしい。 「まぁ、機関長の言う通りだ。すまんが少し機関室を歩き回るぞ」 「構いませんが、変な所に手を触れないでくださいよ?何かあったら後始末が大変ですからね」 「わかってるよ」 ウィルは苦笑したままドンナ―の肩を叩き、更に奥に向かって歩いて行った。
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