混迷

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戦艦バジリスクは艦隊旗艦用戦艦として、ウィルの旗艦ガルディアスに先んじて連邦軍が開発した気鋭の大型戦艦である。その性能は火力、防御力、艦隊指揮能力いずれを取っても両軍の従来型艦隊旗艦を凌駕していた。 しかし、ガルディアス同様に高価な建造コストが首枷となって、バジリスク級戦艦はネームシップであるバジリスクが建造されただけで同型艦の建造は見合わせられている。そういう意味では、ガルディアス級戦艦の簡易量産型を建造し始めた帝国軍は1歩進んでいるのかもしれない。 かくして帝国・連邦両軍はマンダリン星系という極めて狭い空間に大軍を投入し、正面からの殴り合いを始めたのである。それを支援しようとする動きは当然ある訳だが。 「全艦、警戒態勢を取りつつ前進!」 連邦軍アキレス中将は自分の任務であるB回廊の突入は困難と判断。抑えの部隊を残してA回廊で戦うマイセン・エドワード両大将の支援に向かったのだ。 「情報収集艦が1隻、護衛もろとも消息を絶っている。A・B両回廊の他に別の回廊があるかもしれん。警戒を怠るな!!」 アキレスの声が戦艦ピオニーのブリッジに響き渡る。
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