混迷

27/42
前へ
/1283ページ
次へ
「確かに・・・星系外周部は星系内部に比べたら恒星風や磁気嵐はひどくありません。閣下のおっしゃる第3の回廊も一理あります」 「ああ。だが確証は無い。いくら帝国軍を追う形でマンダリン星系に侵攻したとは言え、我々もそれなりに調査はしたんだ。行方不明の件は単純な事故の線も捨て切れん」 「そうですね・・・それにしても、我々の事前調査は帝国軍のそれに比べたら見劣り感は否めません」 ムーアが難しい顔をしながらモニターに目を移すと、何の反応も出していないレーダー解析画像が映し出されていた。 「そうだ。だから哨戒部隊を編成して調査に当たらせた訳だが、結果はこの通りだ」 アキレスが首を左右に振る。開戦前、両軍は辺境宙域に威力偵察部隊を送ると同時にデータ採取の為に大掛かりな調査部隊を派遣していた。ところが威力偵察部隊同士の戦いにおいてウィルに大敗した連邦軍は調査部隊を撤収せざるを得ない状況となり、帝国軍に比べるとその精度は不十分だった。 そこでアキレスはマンダリン星系を綿密に調査しようと哨戒部隊を派遣したのだが、それすらウィルに阻まれるとは皮肉な話しである。
/1283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4692人が本棚に入れています
本棚に追加