混迷

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かくしてC回廊内を警戒しながら進む第38宇宙艦隊だが、その進軍はいささか難儀していた。恒星風の強さが増してきたのだ。 「左舷より突風!」 大型艦であるガルディアスや戦艦群はともかく、重量の軽い空母や巡航艦、小型の駆逐艦隊は大きく動揺していた。 「本艦以下、戦艦群を風上側に一列に並べ、その陰に駆逐艦隊を配せよ。空母と巡航艦は我慢させるしかない」 ウィルはすかさず陣形変更を命じる。 「大佐、恒星風が強まっています。まだまだ許容範囲ですが、あまり酷くなるといささか厄介です。回廊内の残存岩礁はともかく、小石の動きが激しくなってきました」 「副長、だからと言って引き返す事は出来ない。回廊出口に布陣し、連邦軍の備えとしなければならない」 ベッカーの報告に否定するウィル。すると、 「大佐、小石のせいでレーダに誤作動が生じてきました。ノイズが強くなってきましす!」 オペレータの報告にウィルは軽く溜息をつきながら口を開いた。
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