混迷

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かくして回廊への強行を決断したウィルだったが、その道のりは困難を極めた。 「左舷から突風です!!」 彼らが回廊へ進入してからと何度も突風が襲い、艦を大きく揺らしていた。 「姿勢制御!我々が乱れたら風下の僚艦が危険に曝される。姿勢を乱すな!」 「10時方向より岩塊接近!!」 「対空砲、撃てぇい!!」 オペレータからの報告にヴィーザルとオイゲンが素早く対応する。先程から艦の安定と岩塊に対する対処で彼らは大忙しだ。 「ウィル大佐、さすがに少し危険になってきました。引き返しましょうか?」 「駄目だ。回廊の隠蔽と防衛が我々の任務だ」 たまらずベッカーが進言するが、ウィルはにべもなく却下した。 「ウィル大佐、ルイス大佐が通信を求めております」 「・・・」 ウィルが無言で頷くとメインスクリーンにルイスの姿が映し出された。空母フェリシティも大きく揺れており、彼の頭が左右に振られていた。
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