混迷

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「この嵐はいつまで続くんだ?」 開口一番、ルイスが忌々しげに言う。 「事前調査が正確ならば、回廊出口に到着する頃には納まるだろうな」 ウィルは冷静に答えた。 「そうか。艦載機はフル装備のおかげで完全な固定が出来ない。あまり艦が揺れると正直いって危険だ」 「今から爆装を外すのは・・・無理だな?」 「当然だ。この状態での作業は自殺行為だ。誤ってミサイルを床に落としてみろ。格納庫は一瞬で火の海だ」 ノイズ混じりの画面越しにルイスが答える。 「解った。このまま航行し続けるのが困難とであるならば、貴官の判断において停止するか引き返し、風が弱くなり次第、我々を追いかけてくれ」 「すまんな」 ルイスは短く答えて通信を切る。そして立ち上がって命令を下した。 「全艦、巡航速度に減速!艦の安定を厳に保ち、ウィル達を追いかける」
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