混迷

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「よし。戦艦群には航海長の操艦データをベースに必要に応じて修正しながら本艦について来るよう伝えろ。それからレーダー解析データと見張り員からの情報は最優先で操舵席に廻せ」 ウィルが命じるとヴィーザルはモニターを凝視しながら口を開く。 「ありがとうございます大佐。それとオイゲン、出来るだけ岩塊を避けつつ艦を安定させるが、盾の役割を果たす以上、本艦の安全ありきの操艦は出来ない。わかるな?」 「ああ。岩塊は任せておけ。お前を恒星風にだけ集中出来るようにしてやる」 オイゲンが胸を張って言うと、ヴィーザルは微かに唇をつり上げて微笑する。そして、 「機関圧力上昇。スラスターへのエネルギー伝達最大まで」 「了解。圧力上昇」 冷静な表情で指示をした。それはただちにドンナ―機関長の手によって実行される。 「突風来ます!!」 オペレータが報告するが、先程までとはうって変わり、わずかに艦が振動するだけだった。
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