混迷

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・ ・ ・ 「ふっ、相変わらず良い腕してるな。これなら回避運動は必要無い。艦の安定を保つだけで良さそうだ」 ヴィーザルがちらりとブリッジの外を一瞥すると唇を軽く吊り上げる。ガルディアスの対空要員は接近する岩塊を完璧に迎撃していた。 「11時方向、弾幕薄いぞ!8時方向は厚すぎる。もう少し考えて撃て!!」 オイゲンの的確な指示がブリッジに響き、対空要員により迎撃された岩塊は艦に被害を与えない程の大きさに粉砕されていく。彼らは『帝国軍一の精鋭部隊』とウィルが半ば公言するのに十分な技量を発揮していた。一方、 「・・・ヴィーザル航海長は化物だな」 ガルディアスの後を航行する戦艦セイレーンのブリッジでは艦長席に座っていた男が感嘆の声をあげる。彼の軍服には大佐の肩章が付いていた。 「2秒遅れのデータを頼りに、これだけ艦を安定させる事が出来るとは・・・おかげで本艦を含めた後続艦が楽に航行出来る訳だが」 こう呟くと、傍らに立つ副官らしき男も深く頷く。
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