混迷

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・ ・ ・ 一方、星系内の両軍主力による戦いは一層激しさを増し、戦況は泥沼の様相を見せてきた。基本的にA回廊の星系内出口に布陣する帝国軍は連邦軍を包囲下に収めようとし、回廊を抜け出た連邦軍はそれを避けつつ帝国軍を突破。その背面に展開しようとしていたのだが・・・ 「ジェライド閣下、いささか犠牲が大き過ぎはしませんか?既に1割を超える損害がでております」 戦艦アイーダで作戦参謀が心配そうに聞く。双方の激突は苛烈を極め、相当の損害を出していた。 「もう少しだ。マイセンはともかく、エドワードの艦隊は補給に下がる」 両腕を組みながらジェライドが断言する。両軍激突の前哨戦において、レオンによって散々振り回された連邦軍エドワード艦隊は常に戦いっ放しであった。故にどこかのタイミングで補給を受けなければならない。補給を軽視して前線に押し出したエドワードの致命的なミスだとジェライドは考えていた。そして、 「作戦参謀、もう少しこのままの状態を維持。エドワードの艦隊が引いたタイミングで総攻撃だ」 ニヤリと笑いながら大きく頷いたのだった。
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