痛恨

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「ち、父上・・・そう何度もぶたないで下さい」 涙目のアルフレッドにロワナーがフンと鼻を鳴らしてから軽く顎をしゃくり上げる。先を促がしているのだ。 「そ、それでは申し上げますが、仮にシルバラード、ホーウッド両元帥が失脚したとして、それだけで我ら貴族の復権と言うのは難しいかと」 「何故だ?」 「はい。仮に奴らが更迭されたとして、軍の影響力は弱まるでしょうが、一番の問題は国務尚書です。あやつは公爵の身でありながら平民に肩入れし、我らの権益を奪い去ろうとしていますからな」 「キンメルか・・・帝国貴族の風上にも置けん奴だ。いつか失脚させねばなるまいが、陛下のご信任も篤いしのう・・・」 マクシミリアンが難しい顔をする。国務尚書キンメルは清廉潔白、公明正大を旨としたひとかどの人物であり、帝国一の大貴族であるロワナー公爵家と言えどもなかなか手を出す事が出来ないのだ。 「ですが、奴が国政の中心にいる限り、我らの復権はありすまい」 「ううむ・・・」 マクシミリアンが首を傾げながら顎に手を当てる。
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