痛恨

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烈火の如く激怒したセンティウスはホーウッドに命じて、それらを一斉に排除すると共に軍全体に蔓延る腐敗の徹底的な再調査を命じた。何と、それによって将官である貴族の7割が処罰の対象となったのである。 怒り収まらぬセンティウスはそれら貴族達の爵位を剥奪し、辺境の惑星で強制労働に就かせようと考えたが、余りの人数の多さに下手をすれば貴族達による大反乱が怒る可能性を危惧したシルバラードとホーウッドの懸命な説得により、若干の美田を与えて勇退または予備役への編入をする事で事態の仕舞いを付けたのだった。 ホーウッドはその功績と上層部に人材がいなくなった事により大将に昇進して軍務尚書職に就き、瓦解寸前の軍組織の立て直しを命ぜられた。また、シルバラードも宇宙艦隊内に蔓延る獅子身中の虫が排除された事により、より実戦向きの人事を行う事が出来た。 慣例では大将位にあるものが指揮を執る事になっている第3宇宙艦隊の指揮官にラインツ中将を置き、若いが才能溢れる気鋭の将校を幾人も艦隊司令官に抜擢していく。 軍幹部の粛清はこうして幕を閉じた。ただ、それがキンメルが密かに計画し、その糸を引いていた事はセンティウス、シルバラード、ホーウッドの他、数人しか知らない事実であったのだ。
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