痛恨

11/49
前へ
/1283ページ
次へ
「ううむ・・・最早、軍の失墜は目に見えておるが、キンメルの処遇は厄介だな。あとは奴さえ何とかすれば、陛下とて自由に出来ないのだが・・・」 私邸に戻る車中、マクシミリアンは唸る。大粛清により軍内部の組織力は飛躍的に向上した。センティウスはその後ろ盾によって貴族全体の改革を進めようとしていた矢先に不慮の事故で世を去ったが、その遺志は息子である現皇帝のアレクに脈々と引き継がれている事位は彼も十分承知しているのだ。 「左様です。それに軍の大粛清にもキンメルが関わっていたという噂さえあります。勿論、あくまでも噂ではありますが・・・」 思案に耽るロワナー親子だが、彼等は多くの親類・縁者を軍と政府の中枢に送り込み、本家としてそれらを統率する事によって現在の権勢を手にしていた。軍に対する影響力は大粛正により地に落ちたも同然の現状では、その維持のために何としても政治の中枢へ一族を配し続けなければならなかったのだ。それには現体制の維持が最低条件であった。 「父上、私めにお任せいただけませんか?キンメルを必ずや失脚させてみせます」
/1283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4692人が本棚に入れています
本棚に追加