痛恨

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「追え!何としてもあの化物の脚を止めるんだ!!」 宇宙艦隊司令部で陣頭指揮にあたるシルバラードが語気を荒げて命令していた。戦場に於いては冷静沈着な彼としては感情を表に現す事は極めて珍しい。 『殿下に万一の事があれば国体に関わる。何としても食い止めたいが・・・』 シルバラードはかろうじて暴発しそうな感情を必死に押さるかのようにギリッと歯を食い縛る。 「長官!ホーウッド元帥閣下の指揮でミサイル攻撃が再開されましたが、正直申し上げて芳しくありません!!」 オペレータが悲観的な報告をする。モニター上ではミサイルが次々に連邦軍戦艦ゲイボルグに射込まれている様が映し出されているが、肝心の標的は我関せずといった感で直進し続けていた。 「長官、軍務尚書閣下から入電!『ミサイル攻撃はほとんど無意味。宇宙艦隊による迎撃の成功を切に願う』です!!」 「元帥、打つ手無しですな」 シルバラードの傍らに立つ総参謀長ブルックスが無表情で話しかける。そんな彼の手は小刻みに震えていたのだった。
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