痛恨

35/49
前へ
/1283ページ
次へ
「効いてないだと!?」 ヘンケルスが目前の事態に驚愕の表情で言った。いかに超大型艦とはいえ、航空隊の放ったミサイルと3個艦隊の集中射撃であれば、撃沈は必至と思っていた彼にとって、ゲイボルグの健在ぶりは一種の悪夢のように思えていた。 「何故だ!?航空隊の放ったミサイルは1発で戦艦ですら撃沈出来る新型の高速徹甲弾だぞ?旧式とは言え、我が艦隊の砲力自体は主力艦隊のそれと変わらん。なのに・・・連邦軍はなんてバケモノを作ったんだ!!」 制帽を乱暴に脱ぎ捨て、それを床に叩きつけるヘンケルスに対し、 「閣下!宇宙艦隊司令長官閣下より入電!!『もっと接近せよ』との事です」 「言われなくともわかってる!全艦出力最大!敵艦にもっと近づくんだ!!」 「閣下、すでに戦艦群は機関一杯、105%の出力ですので・・・」 「短時間で良い!せめて110%に上げるんだ!!」 否定的な意見を述べようとした機関長の発言を遮り、ヘンケルスが厳しく命じた。
/1283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4692人が本棚に入れています
本棚に追加