レナード

9/33
前へ
/1283ページ
次へ
「いや、それは軍に任せておけば良い。それよりも臣民の統制の方が先だ」 アレクが抑陽の無い声で口を開く。彼の後ろに控えるハンスとフローラ、そして傍らに立つオーバンドが複雑な表情で彼を見た。 「しかし陛下、この様子では軍もアテになりますまい。殿下に万が一の事があってはなりませぬ。我が国体に関わります。どうぞ、ここは我らにお任せいただき、陛下は殿下を・・・」 「ナンセンスな進言だな工部尚書。軍にどうしようも無いものを余がどうしろと言うのだ?」 アレクは工部尚書の発言を遮り、冷ややかな目で返す。 「はっ・・・確かに」 言いくるめられた工部尚書が俯くと、今度は軍の責任論を述べる者が出てきた。 「それにしても軍もだらしが無い。連邦軍の秘密兵器だか何だか知らないが、たかが戦艦1隻を相手に何をしておるのだ。シルバラード元帥も実戦から離れると、このような体たらくとは片腹痛い話だ」 「なにぃ!?」 それにはオーバンドが反応した。
/1283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4691人が本棚に入れています
本棚に追加