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「それにしても、上手く逃げ切れた時は良しとして、奴らに捕まった時の事も考えなきゃな」
「そうですね・・・とんでもないお客さんを乗せてますからね」
「うむ・・・」
ニックが考え込む。拿捕された場合、乗客のチェックが必ずあるだろう。そこでミディアの存在に気付かれなかった場合はどこかで開放される可能性もあるが、そうじゃなかった場合は厄介だ。そう、皇女を捕えたとなれば、連邦領への連行は避けられないからだ。
そして、連邦領への連行にも尾びれが付く。ミディアだけを連行するのか、それとも乗客もろとも連行するのか。更には捕まった後、単なる捕虜なのか、人質なのか。どのように扱われるのかも気になるところだった。
「船長!10宇宙キロを切りました。接触まであと3分!!」
オペレータの報告がニックを現実に引き戻した。彼は急速回頭のタイミングを計るべくモニターに視線を集中した。
「・・・やはり賭けだな。それも分の悪い賭けだ」
誰にも聞こえない様に呟きながら・・・
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