レナード

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「くそっ・・・レナードの奴め」 一方、戦艦ダリアン以下、ヘンケルス麾下の帝国軍艦隊は機関冷却のために速度を落として航行していた。 「閣下、閣下はあのバケモノの指揮官をご存知のようですが、一体何者なのですか?」 副官がヘンケルスに尋ねると、彼は不機嫌そうな顔で口を開いた。 「・・・副長、貴官は2年前のネレイド会戦を憶えているか?」 「ネレイド会戦ですか・・・?ええ、この3年の間では一番大きな会戦でしたよね?」 「そうだ。あの戦いには俺も参加していたのだが、その時にあの男・・・レナードと始めて刃を交える事になったのだ」 「ええ・・・」 ネレイド会戦。この戦いのきっかけは些細な事から始まったのだった。両国の長い国境線では互いの監視を目的とした哨戒活動が絶えず行われており、それらの遭遇戦は頻繁に発生していた。 「俺は3個艦隊を率いて別の宙域へ威力偵察に出ていた。その時、友軍から援軍要請を受けてネレイド星域へと急行したのだ」
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