レナード

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会戦の発端は哨戒部隊同士の小競り合いから始まる国境紛争の典型的なパターンではあったのだが、その場所に問題があった。 ネレイド星系の第3惑星、サイタスは緑と水の豊かな惑星で、手を加えずに人類が生存できる大気組成である事から、その価値は非常に高かったのだ。 会戦当初は小規模艦隊同士の小さな規模だったが、サイタスの重要性を考慮した上で互いに増援を送り込んだのだ。 「俺も含め、周辺宙域の友軍が逐次投入されたが、それは連邦軍も同じ事。最終的には15個艦隊同士の規模に膨れ上がったのだ」 ヘンケルスの説明に副官は頷きながら聴く。 「戦闘は消耗戦になりつつあった中、俺はそれを打破しようと連邦軍の横腹に艦隊を進めて攻撃を仕掛けたのだが、それを阻止すべく迎撃したのがレナードだったのだ」 「なるほど。閣下はレナードの迎撃にお怒りなのですか?」 「まさかな。そんな事で一々怒っていたらキリが無い。会戦そのものは国境警備隊主力から更に20個艦隊を投入した時点で連邦軍が撤退して終わったのだ」
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