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「あの男・・・レナードはこう言ったそうだ。『緩衝宙域に有人惑星があるから、あのような無意味な戦闘が起こる。ならば、その戦略的価値を消し去ってしまえば戦闘は起こり得ない』とな」
所は変わり、帝国軍宇宙艦隊司令部でシルバラードが口を開いた。奇しくも、ヘンケルスの副官と同じ疑問が宇宙艦隊司令部のある参謀から出ていたからだ。
「そんな・・・そんな理由で核を投下したのですか?」
シルバラードの参謀が信じられないと言った表情で彼を見る。すると、
「そういう事だ。あの事件以来、サイタスは勿論、ネレイド星系において両軍の戦闘は行われていない。そう言った意味ではレナードの言う事は正しかったと言う訳だな」
今度はブルックスが忌々しげに補足した。
「総参謀長の言う通りだ。ヘンケルスとの戦闘を見るに、あの男は指揮官とし優秀なのだろうが、追い詰められたら何をするか分からん。そして今、殿下はあの男に追われている・・・非常に危険だ」
シルバラードはそう言うと、ぐっと唇を噛み締めてモニターを凝視していた。
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