レナード

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呆気に取られていた生徒達はアントープの指示にはっと我に帰り、喚き声を上げつつも彼女の指示に従う。その様子を頷いて見ているアントープとミディアは一瞬目が合った。 『先生・・・』 『・・・』 言葉は発さなかったが、互いに小さく頷くとミディアは他の生徒達と同様、前の座席にしっかりと掴まって頭を下げ、アントープは自分の席へと戻った。 「・・・怖い?」 頭を下げたミディアに、彼女同様に頭を下げているエミリーが話しかける。 「・・・そりゃあ怖いわよ。こんな状況で怖く無い人なんていないんじゃない?エミリーは別でしょうけど」 にミディアは少し考えてから彼女に返した。 「ふふっ。そう見える?これでも私だって、『怖い』って感情位持ってるのよ?」 そう優しい笑顔を浮かべるエミリーの手は微かに震えていた。 「エミリー・・・」
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