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「はぁ…。」
部屋を出た後、リョウは空を見上げていた。
(わかっていたはずなのに…。)
リョウは、マーガレットと出会ったあの日から、リョウは少しずつマーガレットに惹かれていった。だがそれは、決して叶わぬ恋だということもわかっていた。マーガレットは、いずれどこかの王子と結婚し、この国を継ぎ、跡取りを生まなくてはならない。自分は、せめて側にいたいと親衛隊になり、そしてなることが出来た。
(それで十分なはずなの…。)
それでも、抑えられない感情。
雲が月を被い、闇は深くなっていった。
その時、マーガレットは眠れずにいた。
「ヘンリ、か…。」
マーガレットは、顔が熱くなるのを感じた。
ヘンリは、マーガレットが今までに会った他のどの男性とも違っていた。気さくで、ちょっと頼りないけど、一緒にいて楽しく、何より安心出来る。そして、マーガレットの中には今まで感じたことのない感情が生まれていた。
(何だろう、胸が苦しい…。)
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