出会い

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“空は青い”と人は言うけれど、私には青くなんて見えない。 “蒼”く見える。 灰色に近い、くすんだ“あお” 「また、空眺めてんの?」 後ろから声が聞こえた。 振り向くと私より10cmくらい身長が高い男子が立っていた。 「…だれ?」 「クラスメートの名前も覚えてくれてないの?」 「覚えてないよ。だれ?」 「…俺は 香芝 宏(かしばこう)。よろしくね。三芳 恋(みよしれん)さん。」 私の名前…… ちゃんと覚えてるんだ。 「空、好きなの?」 「あんまり。」 香芝くんは 好きなのかな? 「そうなの? 俺、今日みたいな青い空好きだよ。」 「へぇ。」 ってゆうか、いきなり話し掛けてきて何なんだ。 「三芳さんはなんであんまり好きじゃないの?」 「くすんだ色、してるから。」 「空って、見る人によって色違うんだ?」 と言って香芝くんは楽しそうに笑った。 …何が楽しいんだろ。 「宏ー。ちょっと来てー。」 そこら辺にたまってる集団から、香芝くんを呼ぶ声が聞こえた。 「…じゃあ、行くね。また話そ?」 「うん。」 現在高校一年。6月。 入学してから、こんなに長く人と話すのは初めてだった。 況してや、人に笑いかけるなんて1年に一回くらいだったのに香芝くんにつられて笑ってしまった。 ぅー。 なんか、悔しい。 …まぁ、いいや。 帰ろ …―帰り道、見た空は赤かった。 綺麗…  
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