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「リジィ…」
不意に、いつも甘えたなダリがリザクの裾を引っ張って顔を見つめてきた。
ダリは6歳の少年で、父親は戦争で亡くなり、母親は大分昔に亡くなっている。
「ダリ?どうしたの?」
「リジィ…大丈夫だった?」
前に一度ダリを連れて食料調達に行ったことがあった。
その時危うくダリが捕まりそうになり、リザクが囮になってダリを逃がした為、捕まって顔が腫れ上がるほど殴られたことがあった。
それ以来ダリは誰よりもリザクを心配するのだ。
「大丈夫だよダリ。あんな大人に負けやしないよ。」
道徳や理想ばかり子どもに押し付けて、自分達は嘘だらけの大人…
リザクは大人から食べ物やお金を盗む事を悪いなんて思ってなかった。
ただ、生きる為。
食べなければ死を待つのみ。
みんなを守る為に盗むのだ。
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