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それから数週間、リザク達はいつもと変わらず生活していた。
最近では、歳の近い子を連れて食料調達に行くことが多くなった。
「リジィ、そろそろ行こうよ!」
出発を急かすこの少年はウォルビー。
リザクの2つ下だ。
「よし、じゃあ行こうか。」
二人で街に出て、偵察する。
「リジィ、あそこの路店…店の人がお客と話こんでるぞ。」
ウォルビーは小声で耳打ちした。
「行くか?」
「あぁ。」
ウォルビーはなるべく気配を消して近づき、ワゴンの陰に身を隠した。
リザクは離れたところで店主を監視し、危なければサインを送る。
(よし!今だ!)
リザクはGOのサインを出した。
ウォルビーはそれを確認して、下から手を伸ばした。
パンを手にいっぱい盗ったら、一目散に走り出した。
「なっ!コノヤロウ!」
店主は気づいたが、身軽に、まるで風のように走り抜ける彼らに、醜く太った大人が追い付けるはずもなかった。
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