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その話を軽く聞き流すとウォルビーが手を引っ張って話してきた。
「リジィ!見て!」
そこには、何人もの子ども達が入れられた檻を引いて歩く集団がいた。
中の子ども達は皆下を向き、涙を浮かべていた。
それでも泣き叫ぶ者はいなかった。
よほど恐ろしい思いをしてきたのだろう…。
ウォルビーは近くの大人に話を聞き、リザクの元に戻ってきた。
「明日から一週間、奴隷市が開かれるんだって…多分あの子達みんな連れて行かれるんだ……」
しかしリジィは上の空で檻を見つめていた。
「リジィ…?」
リザクの視線の先には一人の少女がいた。
その少女の瞳には何も映っておらず、ガラス玉のような無機質な瞳から止まる事なく涙が流れている。
「あ!リジィ!」
リザクは何も考えずに野次馬の中から行列の前へ飛び出した。
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