家出娘

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「風邪引くぞ、家出娘」  夜中、と言ってもまだ夜の11時過ぎではあったが、公園のベンチで膝を抱え丸くなっていた私の前に突如現れた、大柄な男。  私が顔を上げると男はだるそうに笑って見せた。 「んなとこに制服でいんなよ。警察か、さもなきゃ寂しいオヤジの恰好のカモだろ」   ま、警察はこの辺まわんねぇけど、と付け足して男は欠伸をした。  不思議と男に恐怖は感じなかった。  ぼさぼさの黒髪に暗がりでもわかる無精ひげ、よれよれのジーンズにダウンジャケットという格好だったが涼しげな目元が印象的で、容姿は悪くなかったからだろうか。
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